
| ここは、当事務所で取り扱った事案をご紹介し、 皆さまに当事務所の活動内容をお知らせするコーナーです。 |
| [37] C型肝炎訴訟の終結に向けて投稿者:弁護士 川原俊明 投稿日:2008/01/12(Sat) 13:59 |
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昨日の平成20年1月11日、国会で、薬害肝炎救済法が成立しました。
C型肝炎訴訟に関わっている当事務所としても、誠に喜ばしい事態と考えています。
昭和49年、血液製剤フィブリノゲン投与を受けたため、C型肝炎に罹患(りかん)し、重篤な状態に陥って入院中の奥さんを抱えるMさん。
今までの勤めを捨て、病状が悪化する奥さんの看護に専念してこられたのでした。
奥さんは、息子さんから生体肝移植を受け、命を取り留めたものの、依然として事態は悪化しています。肝臓ガン、さらには体全体を病巣がむしばもうとするに至っているのです。
Mさんの奥さんは、自らが被害に遭いながらも、訴訟に至らない多くの肝炎患者が全国に散らばって苦しんでいることを知りました。
もともと、国や製薬会社に対する損害賠償請求訴訟という形での責任追及だけでは、究極の解決にならない。
そのように考えたMさんと奥さんは、集団原告訴訟団から離脱して、独自の訴訟をめざし、訴訟に及んでいない多数の肝炎患者の救済を図るために、「肝炎家族の会」を発足させたのでした。
そして、多くの肝炎患者に救済の手をさしのべようと、Mさんが中心となり、肝炎に苦しむ多くの患者救済の受け皿となるべく、何度も国会を駆け回って国会議員と折衝を重ね、また、厚生労働省全体にも掛け合って、幅広く肝炎患者救済体制確立の必要性を主張してきたのでした。
当事務所は、Mさんの行動を全面的に支援すべく、弁護団から離れたMさんの奥さんの訴訟代理人となりました。
その結果、訴訟を遂行する一方、「肝炎家族の会」を支援する体制をとることにしたのです。
今回の、薬害肝炎救済法成立にあたっても、Mさんたちの肝炎患者全体救済の考え方が全面的に採用されています。
C型肝炎訴訟は、まもなく全面終結の予定です。
Mさんたちは、昨年12月13日、大阪高裁が提案した和解案についても、いち早く和解受け入れを表明し、訴訟の早期終結を訴えてきました。
Mさんたちの肝炎患者全体に対する救済活動は、今からが本番です。
「肝炎家族の会」は、内閣府にNPO(特定非営利活動法人)法人設立申請を行い、さらに力強く救済活動に踏み切ったのです。
私たちも、福田首相の決断を大いに評価したいと思います。
| [36] 涙の刑事裁判投稿者:弁護士 川 原 俊 明 投稿日:2007/04/14(Sat) 18:35 |
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被告人を処罰すべき刑事裁判で、被告人も弁護人も涙を流す光景は、めったにありません。
ある地方裁判所での、刑事法廷の出来事でした。
被告人が刑事裁判にかけられている罪は、今はやりの詐欺事件。
騙されやすい高齢者を相手に、警察官を装い、「某会社に、リフォーム工事を依頼したことがありますね。その会社が不正を働いたので、警察を通じてお金を返すことになりましたが、手続上、あなたから、まずお金をお預かりしないと行けないのです。」といってお金を騙し取った、というものでした。
犯罪それ自体は、決して容認されるべきものではありません。
私達弁護人としても、被告人には、接見(面会)のたびに、二度と罪を犯さないよう厳しく問い詰めて来たのです。
これを担当するK弁護士。
刑事弁護について、一つの信念を持っています。
弁護士たるもの、言い渡された刑事判決の量刑の軽さを手柄のごとく自賛するだけでは、かえって被告人の再犯を助長するようなものである。
被告人に、犯罪の重大さと比べて、判決内容が「この程度で済んだ」と勘違いさせるのでは、本来の刑事弁護の目的に反する、と。
弁護士は、被告人に有利な事情を引き出すことが当然の職責としても、裁判所、検察庁とともに、司法の一翼を担う立場にあります。
弁護士は、被告人が犯罪者であることに間違いなければ、十分な反省と再犯防止策を講じさせ、更生の決意を抱かせなければなりません。
「社会を良くする」「社会から紛争を少しでもなくす」こと信念に、刑事弁護にチャレンジするK弁護士。
刑事法廷では、被告人に対する検察側の立証を終え、次に弁護側の情状立証に入るところでした。
情状証人に予定されていた被告人の奥さんが、むずがる幼い男の子を脇に抱えながら、傍聴席を出て、証人席に立とうとしたときのことです。
裁判長が、被告人の奥さんに、「その子は被告人の子ですか。」と確認したあと、「被告人に抱いてもらっておいて下さい。」と。
裁判長は、奥さんが抱えていた子供を、一時的にせよ、身柄拘束をうけて刑事裁判中の被告人に託することを許可してくれたのでした。
約5か月もの期間、勾留状態にある被告人にとって、妻子が毎日のように拘置所に面会に来てくれていたものの、面会室では、もちろんガラス越しの話ゆえ、肌のふれあいができなかっただけに、被告人もびっくり。
あわてて我が子を抱きしめ、奥さんの情状証人が終わるまで、幼い子は、ずっと被告人の膝の上にいたのです。
その間の被告人。ぐずっていた子供に代わって、被告人自身が感極まって涙を流し続けていました。
30年近く弁護士生活を送っているK弁護士。裁判長のこんな粋な計らいは、初めての経験でした。
K弁護士、早速、被告人質問で尋ねました。
「今、裁判長のご配慮で、子供さんを抱かせてもらったけれど、どんな思いでしたか。」
被告人「うれしかったです。ありがとうございました。子供のためにも立派に更生するつもりです。」
泣きながらの被告人の言葉に、被害者や、被告人の家族達が見守る傍聴席から、すすり泣きが聞こえてきました。
そしてK弁護士の目にも・・・。
K弁護士「あなたが罪を犯していなかったら、毎日のように子供を抱けるのですよ。いかに罪を犯すことが愚かであることを自覚しましたか。」
被告人「もう二度と罪を犯しません。」
被告人の言葉は、子供を抱えた温かみが裏打ちされていました。
裁判翌日の毎日新聞朝刊。(平成19年4月13日付け)
大きな見出しが載っていました。
「むずがる長男 被告の腕に」
「裁判官 開廷中に促す」
「家族のために更生したい」
裁判長の英断に、被害者と被告人、そして家族が涙した刑事法廷が生まれ、そこには、被告人の更生への硬い決意が響いていました。
| [35] 植物状態からの回帰投稿者:弁護士 川 原 俊 明 投稿日:2007/03/08(Thu) 20:54 |
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交通事故の恐ろしさは、現実に被害を受け、後遺症に苦しんだ人でないと、なかなか理解できません。
車社会では、便利さが優先される反面、一つ間違うと、車が他人を傷つける凶器ともなり、鉄の棺(ひつぎ)にもなり得るのです。
予期せぬまま、他人の過ちにより、一瞬にして人生の終止符を打たれ、あるいは、何十年にわたり精神的肉体的苦痛を負わせられる現実。
これらが如何に不条理なことか。
現在の法制度の下では、交通事故紛争では、治療費や車両損害など、目に見える実損害の補填が原則的です。慰謝料という名の精神的損失補填は、裁判所の基準があるにせよ、欧米に比べれば、まだまだお涙程度です。
被害者は明らかに損をする。これが現実です。
依頼者のS夫妻には、大学生になった最愛の一人娘がいます。
その娘が、こともあろうに交通事故被害者となり、文字どおり、瀕死の重傷を負ったのです。娘さんは、一命を取り止めたものの、重度の被害者となりました。一時は、意識が全くなく、植物人間として一生を終わりかねない状態でした。
ベッドの上で、かろうじて息をするだけの娘さん。食事・排泄など、生存に必要な行動は、一人では、何もできない状態です。
ご両親のS夫妻は、娘さんの現実を突きつけられ、娘さんの介護にその後の人生を賭けることを決意。そして、S夫妻は、今までの職場や仕事をすべて投げ打つことになったのです。1日24時間の介護なくして生きられない娘さんを前にしたご両親の決断には、心を打たれるものがありました。
客観的には、娘さんの命と、S夫妻の早すぎる退職との引き替え。
それだけに、私達にとっては、ご両親の決断に頭の下がる思いがしました。
S夫妻にとっても、藁をもつかむ思いだったのでしょう。
娘さんのために、少しでも回復手段があれば、どんなに高額な治療法であろうと、借金をしてでも、それに頼ろうとしてきたのです。
その一つが、脊椎御策電気刺激療法(DCS療法)。
DCS療法は、頸髄背側に挿入した電極で患者に電気刺激を与えて、脳や末梢神経を刺激し、意識の活性、除痛、筋緊張の緩和を図る治療法です。
もちろん健康保険で使える治療法ではありません。
わかりやすく言えば、毎日一定の時間、患者に対し、持続的に電気刺激を与える、という治療法です。植物人間状態、あるいは、それに近い症状といわれる遷延性意識障害患者。この人達に対するDCS療法の臨床症状改善率は44.3%でした。
これを聞きつけたS夫妻。
約1000万円もの借金をして、娘さんに、この治療法を試みたのでした。
当初、保険会社は、このような高額医療は、交通事故と因果関係がない、として一切の支払を拒否しました。その結果、S夫妻は、その借金の返済に負われる事態に陥ったのでした。
娘さんの自由を奪われ、しかも多額の借金を抱えるS夫妻。
K弁護士とI弁護士は、S夫妻の窮状を見かね、この分野の権威であるY医師を訪ねました。そして、Y医師から、DCS療法の内容および有効性についてご教授願い、資料や文献をお借りして、私達の研究成果を裁判に活かすことにしたのです。
Y医師によれば、DCS療法の有効例は、若年者であること、頭部外傷により植物症となった場合であること、早期治療の場合であること、脳全体の萎縮が顕著でないこと、障害領域が広範囲でないこと、などの要件を満たす場合だそうです。
娘さんは、幸い、有効例とされる要件をすべて満たしていました。
療法開始後1か月。ついに、奇跡が起こったのです。
いままで、生活反応が見られなかった娘さんから、開眼、追視、笑顔が出てきたのです。その後も、徐々に回復が見られ、手指を用いての若干の意思表示ができるまでになりました。
そして今回、朗報がやってきました。
S夫妻と娘さんを原告として提訴した交通事故に基づく損害賠償請求訴訟の判決において、DCS療法の有効性が認められたのです。
その結果、DCS療法にかけた巨額の治療費負担が、交通事故との因果関係のある損害の一つとして認容され、保険会社から支払を受けられるようになりました。この判決は、まさに画期的な先例となりました。
交通事故被害の中でも、最も深刻な植物症に陥った人や、その家族に、光を与えたのです。同時に、DCS療法の数多くの臨床例の重りが、治療法の改善につながり、さらなる医療の進歩を遂げることになるでしょう。
今回の事例は、交通事故被害救済の一つですが、他の被害者の救済にも大いに目を向ける必要があります。そしてなによりも、被害者が損をする社会そのものを是正しなければなりません。法改正あるいは法解釈の弾力化により、弱者救済を図り、公平な社会を築く必要があります。
| [34] 事故死の妻は、無過失!投稿者:弁護士 川 原 俊 明 投稿日:2006/12/31(Sun) 16:50 |
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岡山で発生した悲惨な交通事故でした。
妻が、自転車に乗って走行中、バックしてきた10トン・ダンプカーが、自転車を引っかけてしまい、自転車もろとも、転倒した妻の体の一部を後部車輪に巻き込んでしまった、というのです。
悲壮な女性の悲鳴に、おどろいた近所の人たちが非常事態を察知し、ダンプの運転手に事故発生を知らせました。
ダンプを降りてきた運転手は、ようやく人身事故の発生を把握しました。
動揺した運転手。
ギアをドライブにして、巻き込んだ女性を後部車輪から引き離すべきところ、誤って、バックに入れて、思い切りアクセルを踏んだのです。
その結果、ダンプの後部車輪は、完全に女性の体に乗り上げてしまい、
大量失血が原因で、死亡という最悪の結果を招いてしまいました。
この事故で、最愛の妻を失った夫のTさん。
岡山地方裁判所で、損害賠償請求訴訟を起こし、勝訴判決を得ました。
ところが、判決の内容を検討してみると、妻が、ダンプと衝突した原因の一つとして、前方不注意があると認定され、損害金のうち、1割が過失相殺により減額されていたのです。
Tさんは、無念にも死亡した妻の立場に立って、事故発生状況や死亡の原因について振り返り、たとえ9割の勝訴判決でも納得できない、として、わざわざ、大阪にある当事務所に相談に来られたのでした。
当事務所では、I弁護士を中心に、判決内容を子細に分析しました。
一審の裁判所は、「バックしてきているダンプの存在と、その動きを把握すべき妻側の前方注視義務違反」を事実認定し、妻の一連の行動に対する1割の過失減額をしました。
この論法は、妻が、ダンプに体を挟まれた「傷害」の損害部分では、確かに正しいかもしれません。
しかしながら、実際には、妻は、回復しがたい「死亡」という結果に至っているのです。
私達は、死亡の原因は、「妻の前方不注意」でなく、「ダンプの二度挽き」が原因である、という結論に達しました。
もちろん、妻の前方不注意がなければ、交通事故そのものがなかったかもしれない。しかし、Tさんの妻は、「ダンプの二度挽き」がなければ、死亡という最悪の事態にまで至っていなかったはずです。
大阪高等裁判所では、Tさんの主張が見事に採用されました。
100%勝訴を勝ち取ることがでたのです。
Tさんにとっては、これが最大の供養だったでしょう。
| [32] 「法人」の傘は、雨の日以外に使うな投稿者:弁護士 川原俊明 投稿日:2006/09/03(Sun) 14:45 |
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平成18年5月1日から施行された新会社法。
特徴的なことの一つに、最低資本金制度の廃止があります。
従前、株式会社の場合、最低1000万円という資本金が必要で、誰でもすぐに株式会社設立、という訳にはいきませんでした。
もちろん、特例法によって、資本金の「1円企業」も可能だったのですが、それでも5年以内に資本金を1000万円にしないと存続させてもらえなかったのです。
ところが、新会社法によると、起業家による株式会社設立・利用の促進という観点から、資本金は、まさに1円でもいい、ということになりました。
その結果、株式会社の外形を悪用し、財産隠匿、債権者からの追及回避、という法人格を濫用するケースがないわけではありません。
その一例が身近なところにありました。
最近ようやく、景気回復の波に乗り、ゴルフ場にも、ゴルフ人口が少しは戻り始めました。
数年前、ゴルフ場の倒産が、日常茶飯事のように報道されていた時代からようやく落ち着きが出てきたように思います。
ちなみに、ゴルフ場のメンバー(会員)は、会員権を購入することによって、当該ゴルフ場の優先的利用権を確保します。その際、預託金なるものをゴルフ場運営会社に預託します。運営会社としては、ゴルフ会員権の販売に伴う預託金で事業を運営するために、預託金の返還を10年以上据え置く場合が多いのです。
K弁護士事務所では、Aゴルフ場のメンバーであるFさんとK弁護士との熱い議論が戦わされていました。
Fさん 「せっかくA社に裁判で勝った満額(2000万円)の預託金返還請求権が、同じゴルフ場を経営するB社に請求できない、なんて言われているのですが、どうしたらいいんですか。」
K弁護士「確かにA社に対する勝訴判決により、Fさんには請求権があります。しかし、A社がすでに債務超過で倒産してしまった以上、わずかの配当請求権以外、A社に対しては、追及のしようがありません。」
「しかしです。」
「A社から、最近、B社が代わりにゴルフ場の運営をする、という案内状がFさんの手元に来ていましたね。
それを持ってきてください。」
それを聞いたFさん。大急ぎで会社の運営を引き継いだとするB社の資料を持って、K弁護士の元に走ったのです。
K弁護士「A社に対する判決は、紙切れに過ぎなくなったけれど、B社から、その分を回収しましょう。」
K弁護士は、B社が、A社が使っていた「○○ゴルフ」と同じ商号を使っ
ていたことや、また、両者間の業務委託契約を締結していたこと、などの
事実をとらえ、商法第26条の類推適用により、ついにB社への勝訴判決
を勝ち取ったのです。
その後、B社に対する差押えに次ぐ差押えで、Fさんは、ほぼ回収を果
たし、K弁護士の、決して最後まであきらめない手法に満足でした。
この事件の背景には、会社という法人格の傘を利用し、債権者からの追及を回避する手段に株式会社の法人格を悪用する、という例があることを念頭におかねばなりません。
株式会社を容易に設立できる、という新会社法のメリットを、悪用してはいけません。
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